キッチン会議

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玄関側にキッチンを置いてみる

コラム | 2016.2.9

現代ではキッチンが玄関にある家はあまりないかもしれませんが、かつては玄関に隣接した土間にかまどがある家がよく見られました。農家の間取りには玄関先にかまどが置かれていましたし、町屋では「通り庭」と呼ばれる裏の庭まで続く土間に、やはりかまどが置かれていました。下の絵は江戸時代中期の長野県南木曽町漆畑の民家です。

出典:『間取り100年 -生活の知恵に学ぶ』吉田圭二 著 彰国社

このように近代以前の日本の家では、玄関から入ってすぐに食事をする空間とそこに隣接して台所がある家が多く見られます。これらの家は障子などで台所を隠せるようにはなっているものの、日常生活では障子をあけて一体の空間として使っていたと思われます。こういった玄関側に食事をする場所を配置する間取りは日本だけでなく多くのの国でも見られます。
下の間取りは1956年の公団の計画案のひとつです。戦前の日本人の庶民の暮らしぶりを研究してできており、玄関からダイニングに入る間取りが提案されました、それまで多くの人がしていた、茶の間で食事をし、そこでそのまま寝るという暮らし方から、せめて食べるところと寝るところを分けようという考え方の始まりでした。いわゆるダイニングキッチンが誕生したのです。キッチンのシンクも作業台と一体になったステンレス製のものが開発された時でもあります。

1950年 吉武泰水+郭茂林 設計 39.00m²

暮らしの中で、食事をすることは人間の基本的な欲求です。そこで、「家に帰ったらまず食べる」ということから間取りを考えたのでしょう。また家族や仲間と一緒に食べるということは誰にでもわかりやすくかつ大切なコミュニケーションの方法です。そのため、家の内と外とのコミュニケーションの場である玄関側にダイニングが配置されたのかもしれません。
その後日本の暮らし方は西洋化し、リビングから入る間取りや玄関側に寝室を置いた間取りが一般的になっていきました。しかし、今、あらためて玄関側にダイニングやキッチンを置いてみるというのはどうでしょうか。下の絵をご覧ください。玄関先をダイニング空間にして、キッチンも置いてみました。さらに、大きな開口を設けて外の気配が感じられる明るい空間にしています。

このように近隣の住人や友人たちがもっと気軽に家に立ち寄れるような空間があると、日々の暮らしがもっと楽しくなるでしょう。外からも家の中の気配が感じられるような空間なら、近隣との適度なつながりをつくるためにもよさそうです。そんな場所で、食事をしたり、お茶を飲んだり、仕事をしたり、読書や音楽を聞いたりして過ごしながら、立ち寄った人と軽い会話を交わすのも悪くありません。親しい来客が来た時には、キッチンを囲み一緒に食事をつくり一緒に食べたりもできます。玄関の外側に植栽などを置いて、入口まわりを整えていくのもいいでしょう。
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